実はちょうど1年前の2008年8月、黒翡翠について雑誌に掲載しました。
誌名はTokyo Jewelers Aug.2008 No.53(柏書店)
黒翡翠の表記はず~~~~と前から困っていまして載せたものです。
一緒に「赤翡翠について」「専門家もだまされた翡翠」「ビルマの硬玉を始めて紹介した人」他7ページにわたって紹介しました。
読まれたことのない方が多いと思いますので改めてご紹介します。
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黒翡翠には大変困っている。
鑑別書に「翡翠」と表示してくれないのである。オンファス輝石(OMPHACITE)
と鑑別書にかかれる。「オンファス輝石」といって一体どれだけの人が理解しているだろうか?
翡翠の親類くらいに思ってくれればまだいい方である。
海外ではどうなんだろう? 中国人を除いては翡翠はそう身近なものではないから
知らないのが普通だろう。
これから海外に販売していこうと考えたとき、この鑑別書に困ってしまう。
1月のIJTでスイスの業者から数点の黒翡翠の注文があり、急いで鑑別書をとったのだが、
「うーん、この鑑別書では・・・・」といって結局1点のみになってしまった。
世界的に有名なサザビーズやクリスティーズの香港オークションでも黒翡翠が出品されるが
品名にはJADEITEと表示されている。厳密に言うとオンファス輝石は硬玉ではないのだから
「JADE」と表示されるべきなのだが…。
試みに香港の代表的な鑑別機関に鑑別依頼したところJADEITE(注釈でOMPHACITE)
の表示。これでみるとOMPHACITEはJADEITEと鉱物学的には違うが価値は同列
に扱っている。
また、黒翡翠として市場に出回っているものにはこのオンファス輝石の他にもある。
黒鉛など炭素が翡翠輝石の結晶と結晶の間にごく少量入っているものである。
OMPHACITEの場合には光に透かすと濃緑に見えるが炭素入りのものはそうは見えない。
こちらの鑑別書はJEDEITEと書いてくれる。
ところがOMPHACITEと炭素の入った翡翠ではその評価に雲泥の差があるのである。
質のいいOMPHACITEはJADEITE(翡翠輝石)として評価される
サザビーズやクリスティーズでのJADEITEという表示は鉱物学的におかしい。JADEに変更
すべきであろう。
そうでないとOMPHACITEの鑑別書は海外で取得するしかない。
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うれしかったこと
数日前、関西のお客様がお見えになってくださいましてバングル他数点お買い上げくださいました。
本日は北京の御両親に送られるとかで黒翡翠(オンファス輝石)のペンダントをお買い上げくださいました。
黒翡翠にはもちろん鑑別書をお付けします。
日本での鑑別書にも[鉱物名オンファサイト コメントに中国では
[天然翡翠 Conclusion NATURAL FEI CUI (Omphacite - Jadeite)と表記されます]
と書いてくれるといいですがね~~
日本の鑑別書もどんどんグローバル化していくことをぜひ考慮してもらいたいものです。
その前に中国で「Jadeite」という表記を「Jade」とするのが先ですよね。
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